経営者の相続対策①

【Q】小さな会社を経営している者ですが、配偶者との間に子どもがおらず、今のところ両親は健在ですが、自分が亡くなる頃には、どのような状況か分かりません。

自分の相続が問題になる場合に、配偶者と自分の兄弟姉妹が相続になってくると思うので、親族間でもめないかどうか、心配です。私の資産は、不動産や有価証券など多岐にわたるので、単純に預貯金を相続人で分ければよい、という話にはならなさそうです。

今から準備しておくことは、あるでしょうか。

【A】

いわゆる相続対策として、最初に進めておくことができるのは、①相続人が誰なのか、誰になりそうなのか、把握しておくこと、②相続財産を把握しておくこと、の2点です。

<相続人が誰なのか>

最低限、相続人の調査のために最初に準備しておかないといけないのは、「被相続人の出生から死亡までの戸籍」となります。

(上記のQでいえば、ご自身の相続を心配されているということなので、「被相続人」=相談者の経営者本人、ということになります。)

出生から死亡までと言っても、相談者本人が生存中に、自分の相続について対策をしておく場合は、現在の戸籍まで取り寄せておく、ということになります。

それから、相続人となるであろう方が、既に亡くなっている場合には、その子や孫などが新たに相続人となっている可能性が高いです。

その場合は、既に死亡している相続人についても、「出生から死亡までの戸籍」を準備しておくことになります。

<相続財産の把握>

ご自身の相続を心配されているのであれば、相続財産(遺産)を正しく把握し調査できるのは、まさにご本人なわけです。

税務との関係での対策も兼ねますと、相続税の申告の際に、相続財産に関連して様々な根拠資料が必要になりますので、以下、典型的なものを紹介します。

お手元にどの程度そろっているのか、取り寄せておいた方がよいものは何か、参考にしてみてください。

【不動産関連】

・固定資産税・都市計画税課税明細書

・登記事項証明書

・公図、地積測量図、建物図面、住宅地図

・土地・建物の賃貸借契約書

【預貯金】

・残高証明書(相続開始日)

・通帳コピー(相続前5年分以上)

・定期性預貯金証書のコピー

・定期預金等の利息計算書(相続開始日の解約利息)

・家族名義の通帳コピー

【上場株式】

・残高証明書(相続開始日)

・株式登録証明書(相続開始日)

・取引残高報告書

・配当金計算書コピー

【取引相場のない株式】

・決算書・勘定科目内訳書(発行会社の過去3期分)

・法人税の申告書(発行会社の過去3期分)

・全部履歴事項証明書(直近のもの)

・株主名簿(相続開始日のもの)

【公社債など】

・銘柄別一覧表

・残高証明書(相続開始日)

・証書のコピー

【生命保険金】

・死亡保険金支払明細書

・保険証券コピー

・解約返戻金証明書(相続開始日)

【退職手当金】

・退職金支払調書

【債務】

・借入金残高証明書、借入金返済予定表

・税金等の納税通知書、納付書

・医療費の領収書や、その他請求書

※ほとんどの場合、「相続開始日=被相続人の死亡日」、ということになるので、ご自身の相続についてあらかじめ準備をされるという場合は、現時点で収集できない資料もございます。その場合は、現時点での直近の資料を収集して保管しておく、というのでも、将来の相続財産の確定に役立つと思います。